玄米や全粒粉は、なぜ体に良い? 知っているようで知らない、未精製穀物のすごいパワー
真っ白な、炊きたてのごはんや焼きたてのパン、とてもおいしいですよね。
しかし近年、「白く精製された食べ物は体によくない」なんて言われているのをよく耳にします。
白く精製された食べ物より、栄養価に優れ美容や健康に良い食品があるとしたらどうでしょう?しかも、今まで食べていたご飯やパンを少し置き換えるだけでその効果が得られるとしたら…。
これからその、茶色い穀物「未精製穀物」である、玄米や全粒粉の魅力についてお話ししたいと思います!
①食物繊維とビタミンB1で肥満予防
まず未精製の穀物とは、玄米・雑穀・ライ麦・大麦・全粒粉パン・全粒粉パスタ・アマランサスなどのことで、これらを精製する過程では、外皮や胚芽が取り除かれますが、そこには多くの食物繊維が含まれています。
この食物繊維には、それぞれ食後の血糖値の上昇を穏やかにする効果があり、脂肪酸の合成も抑えられることが分かっています。
また腸内環境を改善し、便通を改善することで、余分な脂質やコレステロールなどを排泄してくれ効果も期待できます。
未精製の穀物は、歯ごたえがあり噛む回数が増えるため、満腹中枢が刺激されたり食事時間が延びることで、食べ過ぎ防止に役立ちます。唾液の分泌も促されるので、虫歯予防にもつながります。
一方ビタミンB1とは、糖代謝に必要不可欠な栄養素です。これが不足すると糖質をエネルギーに変えることが出来ず、余った糖質は脂質に変換され蓄えられてしまいます。
ビタミンB1は水溶性食物繊維なので、摂りすぎで不都合が起きることはめったにありませんので、しっかり摂って糖質をエネルギーとして使いきれるように体内から改善していくことが大切です。
玄米でいうと、食物繊維が白米の約2.5倍、ビタミンB1が3倍含まれています。日本人はお米が主食なので毎回の食事から少しずつ取り入れたいですね。
②女性の味方成分が豊富!
未精製穀物には、タンパク質を合成するために不可欠なビタミンB6が豊富に含まれています。
この栄養素は腸内細菌によっても作り出されているので、一般的には不足しにくいと言われていますが、女性ホルモンのエストロゲンの作用とかかわりがあるため、月経前には需要が高まります。
そのため、月経前にビタミンB6が不足してしまい、月経前症候群(PMS)の原因の一つになっていると考えられています。ビタミンB6を摂取するとその症状を和らげる効果があると報告されています。
また、強い抗酸化作用があるビタミンEも豊富で、玄米でいうと白米の9倍も含まれます。他にも、性ホルモンなどの生成や分泌に関与し、生殖機能の維持に働いています。
元々、妊娠に必要な食事因子として発見された栄養素ですが、近年では更年期障害の諸症状(肩こり・手足のしびれ・のぼせやホットフラッシュ・発汗症状・イライラなど)の改善に利用され、その効果が報告されています。
更年期には女性ホルモンをはじめとして、様々なホルモンのバランスが大きく変わる時期です。ビタミンEはホルモンの分泌器官に多く存在しその調整に関わっていると考えられています。
毛細血管を拡張して血行を良くする作用もあるため、自律神経が乱れがちなこの時期に摂ると、血行を改善して更年期障害の諸症状も改善されると考えられています。
③うれしい美肌効果も期待できる!?
前述のとおり、食物繊維には老廃物や不必要な物質を排泄してくれる効果があり、ビタミンB1には、糖質を使いきれるようにエネルギーに変える作用があります。
腸内環境が整うと必要な栄養素がしっかりと吸収でき、糖質をエネルギー源とした細胞や組織の作り替えが活発に行われるようになり、結果として肌の新陳代謝も促進されるようになります。
また、抗酸化作用の強いビタミンEが、細胞膜が酸化されるのを防いでくれることで、細胞が破壊されたり異常な細胞が形成されて結果的に老化やがんになることを予防しているとされています。
このことから、肌にも良いとして研究が進んでいます。
精製されることで失われてしまう栄養素が体内で総合的に働くことで、細胞の新陳代謝を促し見た目も若々しく保ってくれる効果が期待でいます。
いかがでしたか?
穀物の栄養のうち、ビタミン・ミネラル・食物繊維の90%は、外皮と胚芽に含まれます。精製して取り除いてしまってはもったいない!
普段の食事に少しずつ未精製穀物を加えていくことは、今まで悩んでいたからだの不調が改善され、生活の質が良くなる可能性を秘めています!
また、一つの食品に偏るのではなく、色々な食材を適量ずつ楽しんで食べることが健康へのカギです。
全てを全粒穀物にするのではなく、適度に少しずつ取り入れることで自分に合った量を見つけてみてくださいね!
参考文献
『栄養素の通になる 第5版』上西和弘 女子栄養大学出版
『心に効く精神栄養学』功刀浩 女子栄養大学出版
『スローカロリーBOOK』ベースボールマガジン社